霧散する青

みんないったいどこに行ったの?ってしくしくした気持ちのまま夏が終わった。毎日なんとなく忙しくしてなんとなく電話もしたり手紙を書いたりそんなことを繰り返して、まるで言葉から発露されている細くてぴかぴかした糸みたいな引力だけをよすがにして、日々に繋ぎ止められていたみたい。短いメッセージを送りあうだけじゃ、何にもうまくいかなくて、崩れるみたいにお酒を飲んでみたり煙草を吸ったりして。急に誤魔化しきれなくなっちゃったのは全部金木犀の匂いのせいで、どうしてアイツの匂いってのはあんなにも暴力的なのか。橙色が世界で一等嫌いです。私の周りには青っぽいものだけあればいいとすら思っている、革命的青色主義者なんです。そういえばどうしてみんな革命的ってつけたがるのかな?なんだか画一的でカワイイよね。人畜無害な可愛いものは嫌い。希望はインチキ。ぜんぶ張りぼて。希望は偽薬。もっときちんと苦しもうよ。まともに生き切る努力をしようぜ。

当たり前みたいに交し合っていた言葉も、当たり前だったデートもどきも、いつまでもおんなじじゃいられなくて、会うたびに少しずつずれて「なんとなく違う」が積み重なって。別れたり出逢ったりを繰り返しているんだってわかるけど。わかってるんだけど。セックスだけでいいって始まる関係も、セックスなんてなくたっていいって始まる関係も、みんな平等に霧散するときは霧散してしまうの最高です。その事実と絶望で私は救われます。

もう誰だっていい。だって好きな人がほめてくれた青色の髪の毛も、もうダメになっちゃってるんだから。