ここはハーメルンじゃない
私は今日100%だと思う。100%の女の子であると思う。
早く起きた、いい匂いのする服を着た、丁寧に洗顔をした、コーヒーを入れた、午前中に洗濯物を干した。当たり前のことをちゃんとした。ネイルをし直した。
何となく秋の匂いのする町で、ここの町花は金木犀で、だから秋になると生活がずれてしまうけど、それでも私は今日100%。100%。100%
でも100%のおとこのことすれ違うことはない。誰かにとって私はせいぜい40%。
あの人は笛を吹いているのではなく、私がそれを笛と錯覚しただけのこと。笛が鳴ってる。着いていきたい気持ちが逸る。表現を望んでいる。場所を切望している。身を折って、何もかもを昇華させて欲しい。欲しいことばかりがあって、私は。私は表現者でも偽善者でも活動家でも思想家でもない。何にもなれない
私は今日100%だけど、次に会うときは100%じゃないんだよ!あのひとはいつもわたしにとって100%だ。でもそれはただの振る舞い。いつも満たされないでいてよ!幸せでいて!やっぱやめて。あの人ってあなたのことじゃない。誰のことでもない。
象は消滅しないし、第3インターナショナルに人はいない。混ぜ物を混ぜた象に出会うことはない。小人と踊ることもない。ヘルメットは色あせて、武勇伝は煙たがられる。何かを発露しなければ、私はどんどん老いてしまうのに、生き急がないでいていいわけがない。
情熱がある。成し遂げたいことがある。それはあと一歩のところまで来てる。なのにこんなひどいことになっちゃってるのはなんで?
ここはハーメルンじゃない。つまり笛は鳴らないのである。