階級からの脱出

就職したくない、誰かに雇われないで生活したい、何もしたくない、何かを成し遂げないと面白がってもらえない、綺麗でいなきゃ好かれない、不細工でも認められたい、努力できないのに大口叩く自分が憎い、みんなのことが嫌い、みんなのことが好き、西洋美術が好きになれなかったうしろめたさ、美学に逃げる自分の弱さ、そんなものをいつもいつも背負って、重たい重たい言うことで満たされている矮小な人間です。

 

東京に久しぶりに行って、しかもそれは上野で、地名に輪転された記憶っていうのはこうも残酷か。駅の匂いはこんなだったっけ?どこに行って、どこで迷って、どこで好きになったりどこで嫌いになったりしたんだっけ。

 

芸術というカードしかもう手元に残っていない私は人の倍いろいろを見て、学ばなければいけないのですが、もうどうしたらあのお芝居や、あのセックスや、あの映画以上の何かを自分で創造できるのかってわからない。私は芸人にもピエロにも学者にも論客にもなり切れない。

政治も芸術も美学も、普段の生活の中ですることにしか意味がないって強く思うんですけど、私にとってはいまだにそれらの何もかもが非日常で、生活の中にそれがひたひたになっているかって言ったらそれも分かりません。ただ、私は面白いと思った人に面白がられたい。生活や倫理や道徳や経済や性を手放してでも、何かをして、面白がられること、それで誰かの生活が変わることにしか、快感を見出せない。

って、上野に研修に行ったときに思ったんですよ。

 

上野に行ったら絶対身動き取れなくなるって思ってた。地名や天気に記憶が滑り込んでまた腹の中焼けるようになるって、肺から死にゆくって思ってた。でもそうならなくて、それが寂しいとも思わなくて、過去の人になってしまった虚無感と昏い喜びを感じながら、展示を眺めた。

人に捨てられて、人を捨てています。取捨選択をどこでしているのか、自分で探ることは、子供時代を思い出すような甘美と嫌悪です。私もあの人が欲しかった。あれが欲しーってずっと思ってた。あれが私のにならなことに、駄々を捏ねるのもバカバカしい。

 

革命します。人の意識を振り付けます。気勢を張ります。人に迷惑をかけます。人の行動と感情を芸術で救ったり、そのことで私自身が救われたい。前例のないことの中にしか、私は生きていけません。